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相続の「こうしておけばよかった」~遺言編

公開日:2023.02.08
遺産分割
生前対策・贈与
相続の「こうしておけばよかった」~遺言編

近年、万が一の事態に備えて遺言書を作成しておきたいというご相談を多くいただいています。

書かなければと思っていてもイメージが湧かなかったり、思っていたよりも整理するべき事項が多く、ハードルが高かったりと実際に行動に移すことができないでいる方も多いのではないでしょうか。

今回のコラムでは実際の事例を交えて遺言作成のポイントをご紹介いたします。

横浜スカイビル事務所

遺言書を作成しておくメリット

遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ、守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示です。

日本公証人連合会Webサイト「Q1.そもそも、何のために遺言をするのですか?」より引用

残された相続人が円滑に、粛々と手続きを進めるためにも、誰に(お孫様へ、配偶者へ、親戚へ)、何を(不動産を、金融資産を、自社株を)、どのように(すべて配偶者に、お子様全員に均等に、など)遺すのかを遺言によって定める必要があります。

相続人同士の関係が悪く話し合いがまとまらない場合、遺言がないと弁護士による仲裁や裁判につながることもあります。

遺言があってよかった!~子供がいない夫婦で、妻に全財産を相続する場合

子供がいないご夫婦で、ご主人が先に亡くなり相続が発生しました。
主人の両親が既に亡くなっており、兄弟が健在の場合には、法定相続分であれば配偶者が4分の3、兄弟が4分の1となります。

配偶者とご主人の兄弟との関係性が良好ならば、法定相続分どおり兄弟に相続させても良いと考える方もいらっしゃるかと思います。
その一方で、長年連れ添った配偶者に全財産を相続させたいと考える方もいらっしゃるでしょう。

このような場合に遺言がとても有効です。

遺言があったことでトラブルを防ぐことができた実際の例

「全財産を配偶者に」と記された夫の遺言書にもとづいて、すべての財産を妻が相続しました。
これに対して、被相続人の兄弟が法定相続分である4分の1相当の財産を主張したものの、退けられました。
後述する「遺留分」を請求する権利が兄弟には無いためです。

もし遺言がなかった場合には通常通り、配偶者と被相続人の兄弟との間で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めることになります。

子供がいない夫婦 被相続人に兄または弟がいる場合の法定相続分
子供がいない夫婦 被相続人に兄弟がいて、遺言がない場合
子供がいない夫婦 遺言がある場合
子供がいない夫婦 被相続人に兄弟がいて、全額を配偶者に相続する旨を記した遺言がある場合

遺言書を作っておけばよかった!~相続人が認知症のために成年後見人を立てる必要がある場合

日本では1950年代以降平均寿命が上昇し続けていますが、年齢が上がるほど認知症へのリスクが高まるとされています。

配偶者や子どもなどの相続人のなかに認知症の方がいらっしゃったり、罹患する可能性が高いことを指摘されている方がいらっしゃる場合もあるでしょう。
こうしたケースではあらかじめ遺言書を用意しておくと、スムーズに相続手続きを行うことができます。

遺言書を作成せずに相続を迎えた場合、相続人に認知症の方がいらっしゃると、成年後見人をつけて遺産分割協議を行うことになります。

実際に、配偶者が認知症のため遺産分割協議ができず、成年後見人を立てる必要があったため、申告期限までの10ヶ月のうちに遺産分割協議を終えることができないことがありました。

成年後見人をつけるとなれば、まずは申し立ての手続きから始めることになります。そうなると、協議開始までに長い場合には半年ほど待つことになってしまいます。

相続人の方に認知症の方がいらっしゃる場合は遺言の作成をおすすめします

後見人を立てる場合には、法定相続分での分割が必須

被後見人の財産や生活資金を確保するため、法定相続分での分割が原則となってしまうことも注意が必要です。

相続人に認知症の方がいる場合に注意すべきこと

相続人が認知症の場合は遺言書があっても手続きできない場合がある

遺言書の中で遺言執行者を指定することで、スムーズに相続手続きを行うことができます。

遺言を残す方に意思能力がない場合は、そもそも遺言書を作ることができない

できる限り認知症と診断される前に遺言書を書くことや、できる限り公正証書遺言にしましょう。
公正証書遺言は、作成に費用はかかりますが、公証人が立ち合い、原本も公証役場に保管されますので、トラブルになりにくく、確実性が高いというメリットがあります。

手軽に作成できて費用がかからない「自筆遺言書」もありますが、形式や内容不備で無効になってしまったり、紛失・発見されなかったり、といったデメリットがあります。

遺言があったとしても、最低限の遺産が確保される「遺留分」に注意

誰に何を相続させるかで注意が必要なのが遺留分です。

配偶者や子供、親といった法定相続人には最低限の遺産を確保するための「遺留分」が設けられており、遺言書で相続分を指定したとしても遺留分を侵害することはできません。

相続人間の関係性が良好でない場合や、兄に実家の不動産を相続させ、弟には預貯金を相続させたいときなど、それぞれの財産の評価額に乖離がある場合には遺留分に注意が必要です。

なお、先ほどの例のように配偶者と被相続人の兄弟(あるいは姉妹)が相続人となる場合、兄弟・姉妹には遺留分がありません。

遺留分については下記の相続税コラムでご紹介しています。

おわりに

相続発生後のトラブルを防止し、円滑に手続きを行うためにも、辻・本郷 相続センターでは遺言書の作成をおすすめしています。
ただ、遺言書の作成には必要資料が多く、財産の評価など専門的な知識も必要となります。

安心して相続を迎えるためにも、遺言書作成のご相談や相続財産の試算などで不明なことがございましたら、お気軽に辻・本郷 相続センターまでお問い合わせください。

その他、「遺言があればよかった」ケースについて動画でも紹介しております。
ぜひ参考にご視聴ください。

相続こうしておけばよかった《遺言編》

大宮事務所 山口 拓也

この動画のポイント

  • 事例①兄弟姉妹相続(既に亡くなっている兄妹がいて代襲の場合)
  • 事例②半血兄弟姉妹相続
  • 相続人が多い場合なぜ遺言が必要になるのか

動画時間: 06分57秒

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