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相続財産に祠やお地蔵様の敷地があるときは?

公開日:2021.09.21
財産評価
相続財産に祠(ほこら)やお地蔵様の敷地があるときは?

町を歩いている際、神社やお寺のように、しっかりとした名称はないけれど、地元の方や観光客など一定の方が礼拝されているであろう古い祠(ほこら)やお地蔵様がある場所を見かけたことはありませんか?

そういった祠やお地蔵様は、宗教団体がその敷地を保有している場合もあれば、個人の方が所有されている敷地の上にある場合もあります。

今回は個人の方が所有されている場合をテーマに、相続税の計算上、こういった敷地をどのように扱うのかを見ていきましょう。

所沢事務所

そもそも祠やお地蔵様に相続税はかかるの?

一般に、屋敷内にある神の社(かみのやしろ)や祠等といったご神体を祀(まつ)り、日常礼拝のために用いているものを「庭内神し(ていないしんし)」といいます。
ご神体は、不動尊、地蔵尊、道祖神(どうそじん または どうそしん)、庚申塔(こうしんとう)、稲荷等で特定の者または地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。

こうした祠やお地蔵様にまで相続税が課されるのかというと……、安心してください。そこまで相続税は無慈悲ではありません。

相続税法には祖先祭祀(そせんさいし)、祭具承継(さいぐしょうけい)といった伝統的感情的行事を尊重し、これらの物を日常礼拝の対象としている民俗または国民的感情に配慮する趣旨から非課税財産が設けられています。

「墓所(ぼしょ)、霊びょうおよび祭具並びにこれらに準ずるもの」が非課税財産として規定されています。

つまりお墓や墓石は非課税となり、祭具これらに準ずるものに祠やお地蔵様のような庭内神し、仏壇や位牌等で日常礼拝の用に供しているものが含まれ、非課税となります。

敷地は課税されるの?

民法の解釈に従うと、墓所、霊びょうには、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件が含まれるものと解され、墓所、霊びょうの敷地は非課税となります。

ただし、上記の祭具並びに、これらに準ずるものの敷地が同じように非課税となるかというと、祭具並びにこれらに準ずるものを移設し、土地を処分する可能性も否定できないことから一概に非課税とはならないこともあります。

以下のポイントを総合的に考え合わせ、非課税に該当するかどうかを判断することとなります。

①「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形
②その設備およびその附属設備等の建立の経緯・目的
③現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に、密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合

非課税にならなければ評価を減額することはできないの?

庭の祠

では、ここまで紹介したポイントに該当せず、非課税とならない庭内神しの敷地に関してはまったく評価額が減額できないのでしょうか?

所有者としては、先祖代々継承されている庭内神しの敷地を、法的に庭内神しを移設し処分することが可能であることをもって減額せず評価を行い、相続税の課税対象とすることは納得できない部分もあるかと思います。

そのため、過去の国税庁の質疑応答事例においては、その庭内神しが以下のような状況を満たすものであれば、実態として「行き止まり私道」と同じように使用収益が制限されていることを加味して自用地評価額の30%相当額により評価を行うことが示されています。

不動尊等が古くから個人の敷地内にあるものの、その管理は地域の住民等が行っており誰でもその敷地に自由に出入りでき、地域住民等の信仰の対象とされている場合

なお、「行き止まり私道」を含む私道の評価については過去のコラムをご覧ください。

関連コラム私道評価のイロイロ

おわりに

上記のように財産評価の実務は、評価対象財産のあらゆる実態・側面を加味して行います。

地主様や、その地に長く住んでいらっしゃる方の財産には、こういった庭内神しの敷地が含まれていることは珍しくありませんし、相続税も高額になることが多いかと思います。そのため、過大申告とならないよう、評価と申告は専門家である税理士へのご依頼を強くお勧めいたします。

まずは相続専門の税理士が在籍している、私たち辻????・本郷 相続センターまでお気軽にお問合せください。

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